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2011/12/30

この秋観たオペラ2つ

この秋来日した、バイエルン国立歌劇場。
その中から2つの公演を観に行きました。

ひとつめは、「ロベルト・デヴェリュー」。

2011年9月23日神奈川県民ホール
ドニゼッティ作曲「ロベルト・デヴェリュー」全3幕
指揮: フリードリヒ・ハイダー
エリザベッタ: エディタ・グルベローヴァ
以下略(笑)





還暦を超えたグルベローヴァがまた来てくれました!
これだけでもう、感動です。

震災・原発事故のため、今年は来日をキャンセルする演奏家が後を絶たず、
グルベローヴァも来日中止になったらどうしよう?と内心心配でしたが
幸いなことにそれは杞憂に終わりました。

グルベローヴァがキャンセルで代役公演など行ったら
確実に暴動が起きるでしょう。

この公演のチケットを買っている人は
バイエルン国立歌劇場の公演を聴きたいのではなく、
ハイダーの指揮を聴きたいのでもなく(そんな人いるのかな?笑)、
ドニゼッティの音楽を聴きたいのでもなく、
グルベローヴァを聴きたいのだから!

ひとりのソプラノのスーパースターのために書かれた演目であり、
同時に、彼女にしか歌えない演目なのですから。

さすがに衰えは隠せない感じでしたが、
それでも他の人には決してマネのできない、素晴らしい歌を聴かせてくれました!
終わった後のカーテンコール、いったい何回行われたのでしょうか?
これだけ熱狂できる公演は貴重です。






ふたつめは、「ローエングリン」。

2011年10月2日 東京NHKホール
ワーグナー作曲「ローエングリン」全3幕
指揮: ケント・ナガノ
ローエングリン: ヨナス・カウフマン → ヨハン・ボータ
エルザ: エミリー・マギー
オルトルート: ワルトラウト・マイヤー
ハインリッヒ王: クリスティン・ジークムントソン





カウフマンはここ数年大注目のイケメンテノールですが
キャンセル魔になりつつあります。
彼は今年は3回の来日を予定していましたが、すべて来日中止。
日本だけでなく、ヨーロッパの公演でもキャンセルを多発しているようで、
私も昨年、ミュンヘンでカウフマンの公演のチケットを買っていたのですが
キャンセルされた経験があります。

まさに「買う不満」。

代役のヨハン・ボータはバイロイトでも主役級を歌う歌手ですが
声量がすごい代わりに粗っぽく、個人的にはあまり好きになれません。
落ち着いたたたずまいで端正なケント・ナガノの指揮とも合わない気がします。

とは言ってもローエングリンは大好きな演目。
ケント・ナガノの統率力が素晴らしく、
ジークムントソンやマイヤーの歌唱も手堅く、感嘆の連続。
端正で柔らかで神秘的なローエングリンの響きを堪能しました。





来年は新国立劇場でローエングリンをやるんですよね。
今から楽しみです。


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2011/04/23

新国立劇場「ばらの騎士」最終日

4月10日の初日に続き、4月22日の公演を観に行きました。
5回公演のうちの、初日と最終日を観に行ったことになります。





最終日は、初日に比べ、オケが格段に良くなってました!
初日は手探りな感もあったのですが、最終日は冒頭からよく鳴ってました。
初日は、震災・原発の影響で来日直前に指揮者が交代になり
練習時間も短かったのでしょう。
最終日は息の合いかたが全然違いました。
カーテンコールでも、指揮者へのブラヴォーと拍手が凄かったです。
新日フィルは弦の重厚感はありませんが、特に管が上手いですね。
Rシュトラウスのきらびやかさを堪能させていただきました。

第3幕終盤の「マリー・テレーズ・・・」から始まる
3重唱〜2重唱の芳醇・芳香な響き!

いかにも、ヨーロッパの中堅ベテランのオペラ職人。
キャンセル・代役続出の中で、手堅い演奏をする
このタイプの指揮者はよい人選だったのだと思います。


キャンセルした指揮者のアルミンクの代役の
マイヤーホーファー氏もまたオーストリア人。
アルミンクが原発の風評を恐れてキャンセルしたのであれば
本当にガッカリです。
彼は単なる客演ではなく、音楽監督ですし。

まあ、ヨーロッパでは、日本イコール原発だから近寄らない・輸入しない
という風潮になってますしね・・・
四国のタオルの輸入が止められたり、
福岡の国際会議が中止になったりするぐらいですから。






しかし何と言ってもこの日もハヴラタ!
圧倒的存在感です。
彼にとっても一世一代の大名演だったのではないでしょうか。
フォン・オックスは尊大で卑しくて傍若無人な役ですが、
ステージ上にいても彼へのみんなのリスペクトが
伝わってくるようなオーラを感じます。
稽古から最終日まで、彼がこのプロダクションを引っ張っているのでは?
とまで想像してしまうほどです。
指揮者・マルシャリン・オクタヴィアン・ゾフィーと
キャンセルが相次ぐ中で彼だけは来日し、5回の公演をこなしました。
出演者やスタッフの、彼への信頼と感謝は絶大だったことでしょう。
カーテンコールのブラヴォーも、彼が一番盛大でした。
日本のオペラファンは彼の名を一生忘れないでしょう・・・





総じては、オケ以外は初日のほうがよかったです。
震災後1ヶ月の休演を経て再開した新国の公演初日。
指揮者や主役級の歌手のキャンセルが相次ぐ中、
本当に成功するのか?という不安感と緊張感は独特のものでした。
客席にいる私にもそれが伝わるのですから、
出演者・スタッフのみなさんはどれほどのものだったことでしょう・・・


「ばらの騎士」は本当に好きな演目です。
震災後の特殊な状況下での、ある意味記憶に残る公演が
ばらの騎士だったというのもまた、思い出になるでしょう。

語り継がれるべき、伝説の公演になったのではないかと思います。

予定通り、震災も無く、アルミンクが来て公演が行われたとして
これだけのインパクトのある公演になったでしょうか?


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2011/04/12

新国立劇場「ばらの騎士」初日

新国立劇場「ばらの騎士」初日を聴いてきました。





楽しみは、演出・オケ・歌手です。

演出はジョナサン・ミラー。
6年ぐらい前にパリで「ラ・ボエーム」を観て以来、彼の舞台のファンです。
彼の舞台はオーソドックス路線ですが、
非常に格調高く、重厚で雰囲気があります。
新国立劇場の「ばらの騎士」は4年前のプロダクションの再演ですが、
あの舞台をもう一度!観たかったのです。

オケはクリスティアン・アルミンク指揮の新日フィル。
このオケが新国のピットに入るのは初めてです。
アルミンクの新日フィルは昨年演奏会形式で「ばらの騎士」を演奏しており、
息の合ったコンビのこなれた演奏が楽しみでした。

歌手も、カミラ・ニルント、フランツ・ハヴラタはじめ豪華歌手陣!






ところが・・・


震災&原発の影響か、外国人のキャンセルが相次ぎ・・・
指揮者、元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィー、ファニナル役が次々とキャンセル。
 (指揮者と主役級のほとんどが変更になったら、もはや別公演でしょ!)

しかし、オックス役のフランツ・ハヴラタ氏だけは
キャンセルせずに来てくれました!

芸術監督尾高氏からのメッセージにも次のようにありました。
 「来日を前に、キャンセルしたいという外国人も出てきた。
  そんな中でハヴラタ氏から「自分は絶対に行く!」
  というメッセージをいただき、
  一筋の光が見えた気がしました。」

また、指揮者や元帥夫人の代役も欧州勢です。
よくぞ代役を引き受けてくれました!ありがとう!






さて、そんな状況で始まった「ばらの騎士」初日。

オケは第一幕こそ硬さや手探り感がありましたが
第二幕以降はどこかにスイッチが入ったかのような
気合いと集中力で熱演を聴かせてくれました。





歌手陣の中では、なんと言ってもハヴラタ!
彼の独り舞台だったと言っても過言ではないでしょう。
周りの歌手とは明らかに別格の存在感。
私はこれまで、ハヴラタの歌を何度か聴いたことがあったはずですが
ここまで強烈に印象づけられたこともありませんでした。
彼自身も、今の日本に乗り込んで歌うことへの
気持ちの入り方が違ったのではないでしょうか?
今、自身が歌手として日本のために何ができるかを知り、
日本のために来日し、歌ってくれたのではないかと思うほどでした。





あとは、ゾフィーの安井さん。
彼女は以前から「上手いなぁ」と思っていましたが
この日も素晴らしかったです。
特に、第二幕の銀のばらの贈呈のシーン。
ここは個人的にも好きな箇所なので堪能させてもらいました!
惜しむらくは、スタミナ。
最後はバテ気味で声が出なくなり、
音程も保てなくなってしまったのが残念でした。
あとは、プロンプタに釘付けにならなければ完璧です(笑)

オクタヴィアンとファニナルは声が全然聞こえませんでした。
元帥夫人役も声だけは出る人だったので、
最後の3重唱・2重唱のバランスが・・・





ここまで日本人率の高い舞台は久しぶりでした。
最後はオクタヴィアンとゾフィーだけになりますが、
古風なヨーロッパ風の衣装で、姫役とズボン役。
宝塚みたいになってました(笑)


今回のばらの騎士、もう一回聴きにいく予定です。


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2011/01/10

トリスタンとイゾルデ@新国立劇場

今年の初オペラは、新国立劇場でのトリスタンとイゾルデです。

昨年末から年始にかけて5回公演中の最終日・1/10公演に行ってきました。





まず、トリスタンとイゾルデという演目そのものが
新国立劇場初上演です。
オケも歌手も最高難易度ではないかというこの演目。
ようやく新国立劇場でも上演できるようになりました。

トリスタンとイゾルデは、個人的に大好きな演目です。
これを聴くためにドイツまで出かけたこともあります。
 ※その時はベルリン国立歌劇場とドレスデン国立歌劇場で
  偶然にも1日おきでの上演があり、ハシゴしたのでした。
  さらに、その次の日はウィーンでも!
  ヨーロッパでもこれだけトリスタン三昧できるのは珍しいです。


指揮は大野和士氏です。
ヨーロッパでの豊富なオペラ経験あり、
東フィルとは旧知の仲であり、
期待が膨らみます。

結果、非常に良かったです。
歌手にもオケにも存分に歌わせながらすべてを完璧にコントロール。
違和感の無い自然なテンポ設定。
事故らないように、ガチガチ・キチキチに進めてしまう
いわゆる「職人」指揮者も多いですが
大野氏の指揮は素晴らしかったです。脱帽です。

オケは、第1幕はややスロースタート?な感もありましたが
第2幕、第3幕とどんどん鳴っていきましたね。
トランペットのビャー!という汚い音と
弦の薄さがなんとかなれば言うことありません。

残念ながらワーグナーらしい、
ドロドロした分厚いうねりはありませんでした。
これは大野氏の音楽もそうなのでしょうけど。


この日は歌手も大物ぞろいでした。
一昨年から昨年にかけて上演されたトーキョーリングの歌手陣が再集結です。
ブリュンヒルデを歌ったイレーネ・テオリン。
ヴォータンを歌ったユッカ・ラジライネン。
ジークフリートを歌ったステファン・グールド。
フリッカを歌ったエレーナ・ツィトコーワ。

特に、神々の黄昏でのテオリンの熱唱がとても鮮烈で、
今回は彼女がイゾルデを歌うということで楽しみにしていました。

歌手殺しで有名なこの演目ですが
テオリンは第一幕から全開です!
そして、そのテンション・パワーを維持したまま最後まで!
本当に素晴らしい歌唱でした。
次に彼女の歌を聴けるのはいつでしょうか?

トリスタンを歌ったグールドは
最初は、もう最終日は疲れちゃってるのかな?なんて思いましたが・・・
最初はパワーをセーブしている感だったのですが
第2幕・第3幕とどんどん力を解放していった感が。

ブランゲーネを歌ったツィトコーワ。
美人だし、上手いし、言うこと無いですね。

日本で、こういう歌手陣でワーグナーを
上演できるようになったって、考えてみればすごいですね。


演出は・・・
水面を使った舞台でしたが、
1階席の人は水面が見えたのでしょうか?

よくも悪くも音楽を邪魔しない程度に主張している演出でした。
先月ミュンヘンで観たフィデリオは演出が歌手の邪魔をしまくってましたから。
月が沈んでいくかと思っていたら逆行したのは???でしたが・・・





新国立劇場も、だんだん素晴らしい高水準の公演が増えている気がします。
日本人として誇らしいし、国内でここまでの公演を聴けるのは幸せですね。


余談ですが、ワーグナーが書いたトリスタンとイゾルデの台本って、
物語の途中から始まるんですよね。
トリスタンとモロルトの戦いやイゾルデがタントリスを助ける場面は
描かれず、劇中で昔物語として語られます。

このため、ワーグナーの作品で初めて
トリスタンとイゾルデに触れる人には話の流れがわかりにくくなり、
ワーグナーの作品を知る以前からこの物語を知る人には
「なんで?」と思わせるのではないかという気がします。


新国立劇場トリスタンとイゾルデ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000340_opera.html


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2011/01/04

ミュンヘンの芸術

ミュンヘンには、アルテ・ピナコテーク、
ノイエ・ピナコテーク、モデルン・ピナコテークと
3つの代表的な美術館があります。
アルテ(古いという意味)はルネサンス・バロック期ぐらいまでの絵画
ノイエ(新しいという意味)はロマン派・印象派・近代ぐらいまでの絵画
モデルン(モダンという意味)はモダンアートの美術館です。





全部行きたかったのですが、旅行の日程の関係上、
月曜日開館のノイエしか行けませんでした。





ノイエ・ピナコテークには、モネの睡蓮やゴッホのひまわり、
クリムトの「音楽」、その他ルノワールもセザンヌもマネも
ゴーギャンもシーレもあり、なかなか見応えがあります。





クリムトの「音楽」、見たかったんです。
数年前に来たときは貸し出し中で見られなかったので・・・





絵を見た後は、美術館のカフェでアプフェルシュトゥーデルを。
ドイツ語圏では人気のあるリンゴのケーキです。





ドイツに来たら、一度は食べて帰らないと!



オペラも一回だけ見に行けました。





ちょうどフィデリオのプレミエをやっていて
初日ではありませんが公演チケットが取れました。

ダニエーレ・ガッティによる指揮、
ヨナス・カウフマンがフロレスタンを歌う公演です。
カウフマンは一度実演を聴いてみたいと思っていたので楽しみでした。





しかし残念ながらカウフマンは当日キャンセル・・・

代わりに歌ったのはスコット・マッカリスターという歌手。

最初は良い声でしたがすぐに細くなっていってしまい・・・
代役としてはまったく物足りませんでした。





Calixto Bieitoという人の演出も奇抜で
客席からはかなりのブーイングが出ていました。





巨大な鉄枠のジャングルジムが舞台上に作られ、
ソリストや合唱はその上(中?)で歌います。
鉄格子は動くのでかなり危険なためか、
歌手達は常に落下防止ワイヤーを体に付けての演技です。
これだけでもかなりの集中力を削がれるのではないでしょうか。
見ている側も気になってしまいました。
歌手の方々、本当に頑張ったと思います。





さらに、序曲として通常の物ではなく
レオノーレ第3番が演奏されたり、
第2幕の第2場の前に弦楽四重奏曲op.132が演奏(演奏はオデオンカルテット)
されたりという改変もありました。
ちなみに、カルテットのメンバーも
檻の中に入って上から吊るされた状態での演奏です。

第2幕の前奏曲や第2場の間奏曲として
レオノーレ第2番や第3番を演奏する舞台は聴いたことがあります。
フィデリオは元々「レオノーレ」として作られ、
その序曲(候補)としてレオノーレ第2番や第3番が作られた経緯があるため
関連性が高い曲であるためです。

今回の上演ははっきりと「1814年版」とあるので
内容としてはレオノーレではなくフィデリオの上演でした。





マルツェリーネを歌ったLaura Tatulescu や
ピツァロを歌ったWolfgang Kochはとても良かっただけに、
演出とカウフマンのキャンセルが残念な舞台になってしまいました。


でも、ベートーヴェン好きな自分としては
オペラ全編がベートーヴェンの音楽!というだけで結構楽しかったのですが(笑)


舞台写真等はこちら



もっと写真をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
http://www.flickr.com/photos/33874452@N07/sets/72157625720232582/


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2010/03/30

ジークフリートは3度死んだ

気温は低いものの、素晴らしく良い天気の1日でしたね!


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そんな日に休暇を取って屋内にこもっていました(笑)

新国立劇場の「神々の黄昏」最終日です!


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今回、「神々の黄昏」は5回公演中3回観に行きましたが
やはり最終日は気迫が違いました。

さすがに歌手陣は疲れがたまっているのか、
最初から飛ばさずにペース配分を考えた歌唱でしたが、最後は完全燃焼。

特に、ブリュンヒルデを歌ったイレーネ・テオリンの
ジークフリートが死んでからの場面は鬼気迫るモノがありました。
最後はやはり声が出ていなかったのですが気合いが勝った歌唱。
「圧巻」の一言。
テオリンはこの一連の公演で日本での人気を確立するのではないでしょうか。

ハーゲンを歌ったダニエル・スメギも良かったです。
ああいう声が出るバリトンは日本にはいませんね・・・
欲を言えば、もう少しドスの効いた声で圧倒的存在感があれば・・・
これもテオリンがすごすぎた故の贅沢な感想なのでしょうか。
・・・と思ったのは前回同様でした。

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ジークフリートの葬送行進曲は、21日とはまったく別もの。
テンポもぐっと遅くなり、個人的にはしっくり来るテンポにかなり近くなりました。
 ・・・21日は振り間違えたのでは?・・・という疑惑が(笑)
このジークフリートの死の場面、本当に感動的です。
また観たい!・・・でももう2度と観られない舞台であろうことはほぼ確定・・・


学生時代にトラヴェルソの有田先生、バロックオーボエの本間先生に
教わったことですが、どんな曲にもその曲が持つテンポがあると考えています。
それは演奏者の好みや解釈に左右されない、絶対的なものです。
そこにはまったとたん、その曲が活き活きと輝き出すテンポがあるのです。
逆に、そこにはまらないとどこか違和感が拭いきれない演奏になりがちです。


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ダン・エッティンガー指揮の東フィルも大健闘。
終演後は大きな拍手とたくさんのBravo!が飛んでいました。

しかし、ホルン、ワグナーチューバ、バストランペットは
最終日まで良くなりませんでした・・・残念。
比べてはいけないと思いつつ、
2日前に聴いたミュンヘンフィルの金管群のレベルとは雲泥の差があり・・・
せめて音程だけは合っていて欲しいです。


ちなみに、舞台上に登場したブリュンヒルデの黒い家、
実は同じ形で大きさの違うモノが3種類用意されていて
場面毎に使い分けられていたそうです。
21日のバックステージツアーの時に聞きました。


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先日は1階席、今日は4階席でした。
演出は近くで見ないとわからないこと・
上から見ないとわからないことの両方がありますね。
同一演出をいろいろな角度から見られたのは面白い経験でした。


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・・・しかし、4階席って雰囲気がピリピリしていて
お客さん同士のトラブルが多いです。

ちょっとの音や乗り出しで周りから厳しめの注意が飛んで雰囲気が悪くなったり、
本人が気づかずに足が椅子の背中に当たっただけで前の席の人が怒り出して、
最初から「当たっちゃってましたか?ごめんなさい。気をつけます」では
済まされない雰囲気になっちゃったりとか。

後者は子供連れの家族の母親が騒いでました。
周りも「そこまで怒るほどなの・・・?」と首をかしげるぐらいに怒って
会場のスタッフにクレーム入れて席を変えてもらって・・・
端から見ていると空気を悪くしている一番の要因はそのお母さんだったと思います。
子供のいる前で他のお客さんとトラブルになるのもちょっと・・・と思いますし。


先週、ワーグナーの孫のウォルフガング・ワーグナー氏が亡くなり
会場には追悼の意を表するパネルがありました。


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新国立劇場もウォルフガング・ワーグナー氏の演出で
上演したことがありましたね。

ご冥福をお祈りします。


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8年ぶり・2年がかりの一大プロジェクトもこれで終わり。
次に東京でリングが上演されるのはいつになるのでしょうか?


神々の黄昏
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000192_opera.html



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2010/03/25

再度、黄昏

仕事帰りにまた行ってしまいました。


神々の黄昏
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000192_opera.html


でも早退も半休もままならなかったので、第3幕のみです。

先日21日は3階2列の席でしたが、今回は1階5列という特等席。
生声バッチリ、演出の細部までバッチリ。

21日との違い:

  • ・オケの安定感は増しました。でもバストランペットとワグナーチューバの音程最悪はそのまま。難しい楽器なのはわかりますが・・・
  • ・テオリン様はちょっとお疲れ気味。中2日で5回公演の3回目でこれはちょっと心配です。
  • ・ジークフリートの葬送行進曲は少しテンポが遅くなりました。
  • ・カーテンコールのエッティンガー・オケに対するブーイングはかなりおとなしくなりました。
先日のバックステージツアーの時に聞いたのですが、
最後にジークフリートを火葬する焼却炉に薪をくべる場面、
どんどん入れると詰まるので、実は中に人がいて中で片付けているのだとか。
そう言われて良くみると、中に入れられた薪が引っ込んでいくのがわかりました(笑)

あと、芝居中にずっとつけている指環がパズルのピースの形であることも
近くで見て初めてわかりました。
最後のシーンでパズルの最後の1ピースがはまるというのも理解できます。

最後の最後の現代人が出てくるシーン。
やはり映写機をみんなで囲んでいて上映会が終わった!という演出でした。
欲を言えば、ラインの黄金ではヴォータンが映写機の映像を
じっと眺めるシーンから始まったので
最後もヴォータンで締めて欲しかったですね。
ラジライネン氏をそのためだけに来日させるわけにはいかないでしょうけど、
とりあえず似たような体格の人に槍持たせて眼帯させてればそれらしくなるのでは。


今回の一連のリングチクルスでは、ジークフリート・プレート、
ブリュンヒルデ・ハーフ、ノートゥング・デニッシュなど、
作品にちなんだメニューが用意されました。

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これはジークフリート・プレートです。

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最終日はバッチリ有休を取って行く予定です。



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2010/03/22

神々の黄昏

8年ぶりの大プロジェクト・トーキョーリングもいよいよ佳境ですね。


壮大な叙事詩4部作の最後を飾る、神々の黄昏が始まりました。


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オケはダン・エッティンガー指揮の東フィル。
弦は艶も厚みもあって良かったのですが、金管が・・・
音程悪いし、いいところでホルンが外して会場が固まった瞬間があったし、
超重要パートのバストランペットがショボショボだったし・・・
エッティンガーは2年越しでこの大作をよく振りきったと思いますが
肝心のジークフリートの死の場面が個人的には全然好みじゃありませんでした。
テンポ速めであの音楽にしっくりきません。
でも全体では中だるみする場面もほとんどなく、
休憩を挟んで6時間半、集中力が切れなかったのはすごいと思いました。
 (最後のカーテンコールで指揮者にものすごいブーを飛ばしている人がいましたね・・・
 そこまでする必要があるか?ってぐらい執拗で不快でした。
 周囲の良識ある観客達もみんなしかめっ面。)


歌手では、ブリュンヒルデを歌ったテオリンが素晴らしい出来でした!
これは本当に凄かった。
背筋がゾクゾクし「神がかっている」と感じさせる瞬間も。
今日はコレが聴けて大満足です。
一昨年トゥーランドットを聴いたときはここまでの歌手という印象はありませんでした。
今年秋には新国立劇場でイゾルデを歌うことになっていますが今から楽しみです。

ハーゲンを歌ったスメギも良かったのですが、
個人的にはもっとドスの利いた圧倒的な迫力が欲しかったところです。
これもテオリンが凄すぎた故の贅沢な感想なのかもしれませんが。


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演出は、ところどころ本質ではないところで楽しいのですが
全体的にはイマイチ・・・

「ジークフリート」「神々の黄昏」と通して、
ジークフリートが子供扱いされていて
「無双の勇士」とか言われても何だかチグハグです。

最後は指環がラインへ帰ったのだかよくわからないし、
ブリュンヒルデの死の描写があっさりしすぎですし・・・

最後の最後に現代の人々が出てきたのはなんだかよくわからなかったです。
「・・・というワケでした、ちゃんちゃん。」
と、昔話の終わりっぽくしたかったのでしょうか?
昨年の「ラインの黄金」の冒頭が、ヴォータンが
映写機の映像を眺めているシーンから始まったので
「これは、全編をヴォータンの回想記にするという算段かな?」
とも思ったのですが、それなら最後もヴォータンで締めるのが筋ですし。

でもジークフリートの死の場面の演出はなかなかよかったです。
死の世界への光だけがジークフリートを照らし、
ジークフリートはブリュンヒルデの幻影を見る。
誰も動かず、ただただ葬送行進曲が流れる場面には感動しました。


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それにしても、この作品そのものがすごい。
音楽は洗練の極致。
ライトモチーフがキラキラ・ヒラヒラ・絶妙に重なり合い、
川の流れのように色々な表情を見せながら切れ目無く変化を続けていきます。

モーツァルト的な「天才のひらめきの連続」を感じます。
ため息が出ます。
それがどっぷり6時間半。
ため息つきすぎて疲れます。(笑)

この作品に触れられることが幸せなのだな、と思いました。
作曲されたのは1876年ですが、日本で初めて演奏されたのは1987年です。



最後にいいことが1つありました。
初めて、バックステージツアーに当選しました!
終演後約1時間、舞台裏や舞台上を見学できるツアーです。


舞台の上に行って、舞台装置を見せてもらいながら舞台監督さんの解説を聞けます。
少人数なので、雑談っぽくいろいろな質問もできました。

自分も昔は音楽をやっていた人間ですが、
今日初めて知った舞台の裏側がいくつかありました。

舞台上には、歌手が正面を向いて無くても指揮者が見えるように
いくつかモニターがあるのですが、すべてアナログ映像とのこと。
デジタルは再生までに若干のタイムラグがあるので使えないのだそうです。

他にも、指揮者は黒い服を着ているので、指揮台の背後だけは壁が白くしてあるとか
求める音や演目に合わせてピットの床の高さも上下させるとか。
今回のリングチクルスではプロンプタを全く使ってないことにも驚きました。


舞台装置の写真を撮るのはNGですが、
舞台から客席方面の撮影はOKとのことでした。


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ニーべルングの指環、今回は昨年3月4月と今年の2月3月で4部作の上演でした。
ヨーロッパの歌劇場のように1週間で4部作はムリとしても、
1か月1作を4か月で上演、とかできたらいいですね。
ヨーロッパの歌手を2ヶ月3ヶ月も日本に拘束しにくいとか、
他の作品を上演する期間が2/3以下になってしまうとか、
いろいろ難しそうですが。


ちなみに・・・
オペラシティでオペラをやっていると思われていることがありますが、
オペラを上演しているのは隣の新国立劇場です。
オペラシティには大小のコンサートホールはありますが、オペラ劇場はありません。
経営母体も違うし、建物もつながっていません。
新国立劇場は文部科学省の運営です。
オペラシティは東京オペラシティ文化財団という、都の外郭団体の運営です。


神々の黄昏
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000192_opera.html


デジカメを自宅に忘れて、この日の写真は iPhone 3G で撮影でした。
ピントも感度も画質もやっぱりきついですね・・・




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2010/02/20

Siegfried

またまた忙しめの日々が続き、10日ぐらい経ってからの更新です。
本来は、こういうコンサートやオペラのReportは速報性も大事なんですけどね。。。


初台・新国立劇場にて昨年から2年越しで再演されている
トーキョー・リングの後半戦が始まりました!


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ということで、ジークフリート初日、行ってきました。


ジークフリート
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000191_opera.html


新国立劇場の初日は行ってはいけない・・・と言われていますが(笑)、
行ける日がここしかなかったのです。


ジークフリートのクリスティアン・フランツ。
ちょっと弱かったですね・・・
オケはまあまあ調子よかっただけに、
オケが鳴り出すと埋もれてしまうことも。
でも体型は立派です。
第1幕の最初に「熊を連れてきたぞ!」と言いながら出てくるのですが
思わず「熊はあなたでしょ!」と突っ込みを入れたくなりました(笑)

ミーメのヴォルフガング・シュミット。
好演でした。
でもラインの黄金の時の高橋さんの方が
ミーメの卑屈さがよく出ていた気がします。

ヴォータンのユッカ・ラジライネン。
ラインの黄金からずっとこの歌手が歌っています。
残念ながら威厳抜群!ではないのですが、
むしろヴォータンの弱さも醸し出している気がします(笑)
すごく手堅い歌唱で、さすがと思わせる場面も多いですね。
キース・ウォーナーによるこの演出はラインの黄金から一貫して
ヴォータンが狂言回し的な役回りも果たしているようです。

ファフナーの妻屋さんが良かったです!
体格も、声も外国人勢にぜんぜん引けを取りません。
すごい存在感でした。

ブリュンヒルデのイレーネ・テオリン。
すごい声が出ていましたね。
来月の神々の黄昏が期待できそうです。

小鳥は安井陽子さん。
今回はちょっと苦しかったかな・・・
歌上手い人なんですけどね。


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キース・ウォーナーの演出は相変わらずぶっとんでいるのですが、
解釈がぶっとんでいるのかと言えばそうではなく、
むしろわかりやすい部類だと思います。

斬新な解釈でも、示唆的でもない
ただの遊びにしか見えない部分も多いのですが・・・

ジークフリートがスーパーマリオっぽかったり、
第2幕からは作業ズボンを脱いでジャケット姿になるのですが
(彼の成長を表してる?)
胸にはスーパーマン(Siegfried?)の「S」マークだったり。

ノートゥングは、キッチンで包丁で刻んで
ミルクと合わせてミキサーにかけて、
電子レンジで火を通した後でオーブンで仕上げるのだそうです。

「炭が赤々と燃えているぞ!」
「ふいごを吹け!火よ燃えろ!」
と言いながらバーベキューコンロでソーセージを焼いたり。

第2幕のセットはディズニー映画みたいでした。
森の中で着ぐるみの動物がたくさん出てきたり
大きな、魔力を持ったしゃべる木が中央にあったり。

第2幕の最後で小鳥が着ぐるみを脱いで裸になるのか、
よくわかりませんでしたが・・・

第3幕は一連のこのシリーズおなじみの巨大矢印からスタートです。
ミーメの心の中の声がTVモニターを通して見えるのは面白い演出だと思いました。

最後の炎の岩山は、ワルキューレの最後のセットと同じです。
緞帳が下りてきて火の映像が映し出される、
様子も「ああ、これこれ!」と思い出しました。
この回帰感はなかなか良かったです。

この作品では、エルダのシーンは重要な意味を持つ場面なはずですが
今回の演出ではどうも扱いが低いように感じてしまいました。
ヴォータンはとりあえず意見を聴きに行ったけど
意見が合わなくて帰ってきただけ。別に行かなくてもよかったじゃない、みたいな。


ダン・エッティンガー指揮の東フィルは良かったです。
よく「初日は公開ゲネプロ」と揶揄されたりもするのですが
今回はきっちり仕上げてきましたねー。
なかなか演奏機会のないワーグナーの名作は、オケも燃えるのでしょう。
まあ、テンションや硬さは初日っぽい感もあったのですが・・・
弦は第2幕あたりからどんどん鳴ってきました。
印象的だったのは、ワーグナーチューバの最低音を吹いていた女性。
第1幕にずーっと1人でロングトーンな場所があるのですが
ワーグナーらしいうねりが出ていたと思います。


主演の「ジークフリート」はヨーロッパの伝説では
典型的な英雄・王子様の名前ですね。

白鳥の湖も、眠りの森の美女も、王子様は「ジークフリート」です。
眠りの森の美女は荊の中で眠っているお姫様を見つけた王子様が
口づけで眠りから覚ます物語ですが、
ワーグナーのジークフリートも、岩山の中で眠っているお姫様を
見つけたジークフリートが口づけで目を覚まさせるところまで被っていますね。

マジンガーゼットシリーズのグレンダイザーに出てきた
王子様キャラの主人公が「デュークフリード」なのも
ルーツとしては無関係じゃないと私は勝手に考えています(笑)


それにして、何度観てもやはりこの作品を実演で観るのは辛いです。
いくらなんでも冗長で。
個人の好みにもよるのだと思いますが、
私には4部作Completeする目的で観る作品です(笑)
ワルキューレと神々の黄昏の間が抜け落ちないように、というか。
わざわざこの作品だけを選んで観ることはないでしょう・・・
思い入れたっぷりなワーグナーさんには気の毒ですが。


ジークフリート
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000191_opera.html


もう今から来月の神々の黄昏が楽しみです!
超大作4部作のフィナーレを飾るにふさわしい、素晴らしい作品ですから。



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2009/11/08

ティーレマンのばらの騎士

クリスティアン・ティーレマンは、私が好きな現役の指揮者の1人です。
数年前にウィーンでパルジファイルを観て以来、大ファンになりました。

Rシュトラウスの「ばらの騎士」は私が好きなオペラの1つです。
DVDでも一番多く持っている演目です。

ティーレマン指揮のばらの騎士のDVDが発売されたら買うしかありません!

というワケで、買ってきました。


 ※渋谷タワーレコードで6,390円もしたのに、↓のAmazonでは2,846円でした(泣;


Der Rosenkavalier : Thielemann/MPO/Fleming


 ルネ・フレミング(元帥夫人)
 ディアナ・ダムラウ(ゾフィー)
 ソフィー・コッホ(オクタヴィアン)
 フランツ・ハヴラータ(オックス男爵)
 フランツ・グルントヘーバー(ファニナール)
 ヨナス・カウフマン(歌手)

 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
 クリスティアン・ティーレマン(指揮)

 ヘルベルト・ヴェルニケ(演出)

 2009年1月バーデン・バーデン祝祭劇場

ティーレマン・ヴェルニケ・各歌手のインタビュー映像付き。
フレミングがドイツ語を話しています!


第1幕、幕が開いて、元帥夫人と一夜を共にしたオクタヴィアンが
歌い出すところでまずビックリしました。
なんと、ベッドの横の椅子で足を開いて座り、タバコを吸っています!
14歳ぐらいの少年という設定だったはずですが・・・(笑)

小間使いのモハメドは少年ではなく黒い顔のピエロです。
最初に幕を開けるのも彼。
ヴェルニケは狂言回しという役どころをモハメドに与えたようです。

この、モハメドの扱いに工夫を凝らす演出家は多いようですね。
一昨年前に観たチューリッヒ歌劇場のの演出では
元帥夫人の内面や幼少期をモハメドに重ね合わせるような解釈でした。

舞台は全幕通して大きな鏡を使った設計です。
これは元帥夫人の内面を映し出していることを暗示しているのでしょうか。
それとも、現実ではない世界を表しているのでしょうか。

ピエロの狂言回や鏡を使った舞台ということで
この作品の持つ「皮肉」がやや強調された舞台という印象もあります。

時代設定は20世紀に移されていますが、
奇抜なモダン演出というわけではありません。

第2幕のオクタヴィアンの登場シーン!
真正面の階段の上から登場です。
白いスーツ・白い帽子・白い靴です。
横向きに立って、顔は正面を向き、
片手には銀のバラ、片手は腰に当てて片足を軽く曲げて立っています。
まるで宝塚の男役です(笑)

第3幕の3重唱はオケ・歌手が一体となった感動を味わえました。
ティーレマンはこういう「聴かせどころ」を
これでもかと存分に聴かせるのが上手いですね。

最後、2重唱のあと感極まって2人が倒れ込みます。
2人の手には銀のバラが。
幕を引くのはピエロです。
ここで2人の手にある銀のバラをピエロが本物のバラに取り替えて
銀のバラを投げ捨てます。
この愛だけは本物だという暗示でしょうか。
そして、最後にピエロは顔に塗った黒を拭き取ります。
白人至上主義へのアンチテーゼでしょうか。シニカルな演出ですね。


とにかく、歌手陣が豪華です。
どの歌手も歌も演技も文句なし。
フレミングの元帥夫人、さすがの貫禄です。はまり役ですね。
ディアナ・ダムラウのゾフィー、
典型的なドイツ人の顔立ちと体格ですが、かわいいです。
ハウラータのオックス、下品なオヤジという役柄なのですが
どこか貴族らしさを失わないのがすごいです。
ソフィー・コッホのオクタヴィアン、40歳とはとても思えません(笑)
カウフマンのテノール歌手も、あのアリア1曲ではもったいないぐらいですね。

 「テノール歌手」の役は出番が少ないためか、
一球入魂的な少々力み気味な歌唱が多いような気がします(笑)



ティーレマン指揮のミュンヘンフィル。
素晴らしく豊かな音のアンサンブルです。
「豊潤・豊麗」とはまさにこのこと。
テクニックも抜群で、Rシュトラウスの
「音の洪水」を見事に作り出しています。
ティーレマンは本来オペラの指揮者だけに、
歌にピッタリつけた音楽の運び方がさすがです。
舌を巻くほど上手いです。

あとは繊細さが加わればカンペキなのですが・・・もったいない。
しかしこれは指揮者ではなくオケかもしれません。
ティーレマンがウィーンフィルでアルプス交響曲と一緒に入れた
ばらの騎士組曲があまりにも素晴らしかったのですが、
残念ながらミュンヘンフィルではそこまでいたらず・・・
第2幕最後のオックスのワルツなど、ウィーンフィルとの
ニュアンスの差が出てしまっていた気がします。
まあ、ウィーンフィルほどの微妙な「色気」を出せるのは
ウィーンフィルだけとも言えますが・・・


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オケも歌手も、現在世界最高と言っていい水準だと思います。
もし会場で観ていたら大興奮でしょう。

・・・しかし、DVDで観ていると何かがもの足りません。

自分の中ではクライバーやカラヤンが「ばらの騎士」の
基準になってしまっているのかもしれません。
さすがのティーレマンもあの域までには達していないというか、
ティーレマンがあそこまで突き抜けた「何か」を自分のモノにするのは
まだ50歳ですし、これから先ということなのでしょうか。


とは言え、一昨年前のミュンヘンフィルとの来日公演での
ブルックナーの5番は神がかった演奏でした。
あの水準の演奏はそうそう聴けるものではありません。
来年3月には日本でブルックナーの8番を演奏します。
もちろんチケットを買いました。
今から楽しみです。

さらに、2012年からティーレマンはシュターツカペレ・ドレスデンの
音楽監督に就任することが決まっています。
いつかこの組み合わせでばらの騎士を聴いてみたいです。



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2009/10/11

ネトレプコ&ビリャソンの「ラ・ボエーム」

少し前にNHK BSで放送していたものを録画しておいた「ラ・ボエーム」を観ました。

ロドルフォはローランド・ビリャソン、ミミはアンナ・ネトレプコ、
オケはド・ビリー指揮バイエルン放送交響楽団。

舞台上演ではなく、音声がレコーディングセッションで別収録された映画版です。

ネトレプコ&ビリャソンと言えば、2005年のザルツブルグ音楽祭で
スキャンダラスとさえ言われるほどの大きな話題を呼んだ「椿姫」の主演コンビです。


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感想は・・・

オケにやや難有りですね。
ド・ビリー指揮のバイエルン放送交響楽団はプッチーニにはやや鈍重な感が。
プッチーニ特有の色彩感の変化に乏しく、少々物足りません。
時折ストラヴィンスキーやワーグナーのようになってしまっています(笑)


4年ぐらい前にパリで聴いたラ・ボエーム。
オケがとにかく素晴らしかったんです。
やわらかく繊細にきらめくあの色彩感!
あれをドイツのオケに求めるのは無い物ねだりなのでしょうか。


R0016226


しかし、歌手陣が素晴らしい!
オペラ歌手は役者でもあります。胸を打つ素晴らしい演技を見せてくれます。
別収録しただけあって、歌のクオリティも高いです。

中でもネトレプコはやはり別格ですね。
歌も演技も表現豊か。ルックスもいいし。
惹き付けられてしまう場面がいくつもありました。

観る前は「ネトレプコはミミよりムゼッタだろう・・・」と思っていたのですが
見終わってみれば、そんな偏見(?)を見事裏切る素晴らしい出来映えです。


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ネトレプコ&ビリャソンの「ラ・ボエーム」は
2011年のメトロポリタンオペラの来日公演で観ることができます。
これはぜひ行きたい公演です。
恐らくチケットは目玉が飛び出るほど高いでしょうけど・・・


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余談ですが、ビリャソンの眉毛は両さんどころではありませんね(笑)
リアルにマンガのキャラクターと張れるところがスゴイ!

ローランド・ビリャソン



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2009/09/12

アイーダ

ミラノ・スカラ座来日公演
ヴェルディの「アイーダ」です!


R0015956


スカラ座のアイーダ。ベタな組み合わせですが、王道中の王道とも。

演出はフランコ・ゼッフィレッリ、
アイーダはヴィオレッタ・ウルマーナ、
ラダメスはステュアート・ニール、
アムネリスはアンナ・スミルノヴァ、
オケ・合唱・バレエはミラノ・スカラ座、
指揮はダニエル・バレンボイム。


昨年の新国立劇場のアイーダも、ゼッフィレッリの演出でした。
あれは10年前の新国立劇場オープニング公演のための制作で、
今回のはその後ミラノで新制作された別演出とのことでした。

しかし、その演出は前作(新国立劇場演出)を踏襲した物で、
全くの別物ではなく、10年前の制作のリメイクという感じ。
コンセプト・イメージ・テーマ・解釈はそのままだったと思います。

サッカーファンにはおなじみの「凱旋行進曲」が鳴り響く第2幕は
期待通り、絢爛豪華・圧巻・圧倒的。
幕が開いた瞬間にあちこちから「すごい・・・」とため息が漏れ、
会場がざわついたのが印象的でした。

しかしそれ以上に印象的だったのが第3幕・第4幕です。

壮大なスペクタクル・グランドオペラとして知られるアイーダですが、
少し考えれば前半2幕と後半2幕の対比が重要な要素となることに気づきます。
明と暗、栄光と凋落、希望と絶望。

どうでもいい公演は、前半2幕の豪華な舞台、圧倒的なスペクタクルを
エンターテイメントとして楽しませたらそれで終わりで、
後半2幕はその後の物語を付け足し・・・
みたいになってしまうことも多いのですが、ゼッフィレッリの演出は違います。
前回の新国立劇場の公演を見たときに、後半2幕のドラマを描くことに
重きを置いているように思えました。

今回はその傾向がより顕著に表れていたと思います。

それを際だたせていたのが、バレンボイムとオケです。
前半2幕はド派手な音も作れる場面ですがかなりサラサラと進み、
後半2幕は思い入れたっぷりに濃厚な、ドラマティックな音楽作り。
後半は歌手も、オケも、目の色が違うという気合いの入れようでした。
これだけ聴き応えのある後半2幕は滅多に聴けません。


歌手の中では、タイトルロールのウルマーナが良かったです。
ラダメスを歌ったニールはちょっとムラがある感じ。
巫女は初台の時の渡辺玲美さんのほうが良かったかな・・・
バレエもよかったですね。エジプト風のダンスを存分に楽みました。


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この秋はアイーダの当たり年ですね。
来月にはプラハ国立歌劇場の公演もありますし、
劇団四季の公演も始まります。


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