2011/01/10

トリスタンとイゾルデ@新国立劇場

今年の初オペラは、新国立劇場でのトリスタンとイゾルデです。

昨年末から年始にかけて5回公演中の最終日・1/10公演に行ってきました。





まず、トリスタンとイゾルデという演目そのものが
新国立劇場初上演です。
オケも歌手も最高難易度ではないかというこの演目。
ようやく新国立劇場でも上演できるようになりました。

トリスタンとイゾルデは、個人的に大好きな演目です。
これを聴くためにドイツまで出かけたこともあります。
 ※その時はベルリン国立歌劇場とドレスデン国立歌劇場で
  偶然にも1日おきでの上演があり、ハシゴしたのでした。
  さらに、その次の日はウィーンでも!
  ヨーロッパでもこれだけトリスタン三昧できるのは珍しいです。


指揮は大野和士氏です。
ヨーロッパでの豊富なオペラ経験あり、
東フィルとは旧知の仲であり、
期待が膨らみます。

結果、非常に良かったです。
歌手にもオケにも存分に歌わせながらすべてを完璧にコントロール。
違和感の無い自然なテンポ設定。
事故らないように、ガチガチ・キチキチに進めてしまう
いわゆる「職人」指揮者も多いですが
大野氏の指揮は素晴らしかったです。脱帽です。

オケは、第1幕はややスロースタート?な感もありましたが
第2幕、第3幕とどんどん鳴っていきましたね。
トランペットのビャー!という汚い音と
弦の薄さがなんとかなれば言うことありません。

残念ながらワーグナーらしい、
ドロドロした分厚いうねりはありませんでした。
これは大野氏の音楽もそうなのでしょうけど。


この日は歌手も大物ぞろいでした。
一昨年から昨年にかけて上演されたトーキョーリングの歌手陣が再集結です。
ブリュンヒルデを歌ったイレーネ・テオリン。
ヴォータンを歌ったユッカ・ラジライネン。
ジークフリートを歌ったステファン・グールド。
フリッカを歌ったエレーナ・ツィトコーワ。

特に、神々の黄昏でのテオリンの熱唱がとても鮮烈で、
今回は彼女がイゾルデを歌うということで楽しみにしていました。

歌手殺しで有名なこの演目ですが
テオリンは第一幕から全開です!
そして、そのテンション・パワーを維持したまま最後まで!
本当に素晴らしい歌唱でした。
次に彼女の歌を聴けるのはいつでしょうか?

トリスタンを歌ったグールドは
最初は、もう最終日は疲れちゃってるのかな?なんて思いましたが・・・
最初はパワーをセーブしている感だったのですが
第2幕・第3幕とどんどん力を解放していった感が。

ブランゲーネを歌ったツィトコーワ。
美人だし、上手いし、言うこと無いですね。

日本で、こういう歌手陣でワーグナーを
上演できるようになったって、考えてみればすごいですね。


演出は・・・
水面を使った舞台でしたが、
1階席の人は水面が見えたのでしょうか?

よくも悪くも音楽を邪魔しない程度に主張している演出でした。
先月ミュンヘンで観たフィデリオは演出が歌手の邪魔をしまくってましたから。
月が沈んでいくかと思っていたら逆行したのは???でしたが・・・





新国立劇場も、だんだん素晴らしい高水準の公演が増えている気がします。
日本人として誇らしいし、国内でここまでの公演を聴けるのは幸せですね。


余談ですが、ワーグナーが書いたトリスタンとイゾルデの台本って、
物語の途中から始まるんですよね。
トリスタンとモロルトの戦いやイゾルデがタントリスを助ける場面は
描かれず、劇中で昔物語として語られます。

このため、ワーグナーの作品で初めて
トリスタンとイゾルデに触れる人には話の流れがわかりにくくなり、
ワーグナーの作品を知る以前からこの物語を知る人には
「なんで?」と思わせるのではないかという気がします。


新国立劇場トリスタンとイゾルデ
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000340_opera.html


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