2010/02/20

Siegfried

またまた忙しめの日々が続き、10日ぐらい経ってからの更新です。
本来は、こういうコンサートやオペラのReportは速報性も大事なんですけどね。。。


初台・新国立劇場にて昨年から2年越しで再演されている
トーキョー・リングの後半戦が始まりました!


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ということで、ジークフリート初日、行ってきました。


ジークフリート
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000191_opera.html


新国立劇場の初日は行ってはいけない・・・と言われていますが(笑)、
行ける日がここしかなかったのです。


ジークフリートのクリスティアン・フランツ。
ちょっと弱かったですね・・・
オケはまあまあ調子よかっただけに、
オケが鳴り出すと埋もれてしまうことも。
でも体型は立派です。
第1幕の最初に「熊を連れてきたぞ!」と言いながら出てくるのですが
思わず「熊はあなたでしょ!」と突っ込みを入れたくなりました(笑)

ミーメのヴォルフガング・シュミット。
好演でした。
でもラインの黄金の時の高橋さんの方が
ミーメの卑屈さがよく出ていた気がします。

ヴォータンのユッカ・ラジライネン。
ラインの黄金からずっとこの歌手が歌っています。
残念ながら威厳抜群!ではないのですが、
むしろヴォータンの弱さも醸し出している気がします(笑)
すごく手堅い歌唱で、さすがと思わせる場面も多いですね。
キース・ウォーナーによるこの演出はラインの黄金から一貫して
ヴォータンが狂言回し的な役回りも果たしているようです。

ファフナーの妻屋さんが良かったです!
体格も、声も外国人勢にぜんぜん引けを取りません。
すごい存在感でした。

ブリュンヒルデのイレーネ・テオリン。
すごい声が出ていましたね。
来月の神々の黄昏が期待できそうです。

小鳥は安井陽子さん。
今回はちょっと苦しかったかな・・・
歌上手い人なんですけどね。


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キース・ウォーナーの演出は相変わらずぶっとんでいるのですが、
解釈がぶっとんでいるのかと言えばそうではなく、
むしろわかりやすい部類だと思います。

斬新な解釈でも、示唆的でもない
ただの遊びにしか見えない部分も多いのですが・・・

ジークフリートがスーパーマリオっぽかったり、
第2幕からは作業ズボンを脱いでジャケット姿になるのですが
(彼の成長を表してる?)
胸にはスーパーマン(Siegfried?)の「S」マークだったり。

ノートゥングは、キッチンで包丁で刻んで
ミルクと合わせてミキサーにかけて、
電子レンジで火を通した後でオーブンで仕上げるのだそうです。

「炭が赤々と燃えているぞ!」
「ふいごを吹け!火よ燃えろ!」
と言いながらバーベキューコンロでソーセージを焼いたり。

第2幕のセットはディズニー映画みたいでした。
森の中で着ぐるみの動物がたくさん出てきたり
大きな、魔力を持ったしゃべる木が中央にあったり。

第2幕の最後で小鳥が着ぐるみを脱いで裸になるのか、
よくわかりませんでしたが・・・

第3幕は一連のこのシリーズおなじみの巨大矢印からスタートです。
ミーメの心の中の声がTVモニターを通して見えるのは面白い演出だと思いました。

最後の炎の岩山は、ワルキューレの最後のセットと同じです。
緞帳が下りてきて火の映像が映し出される、
様子も「ああ、これこれ!」と思い出しました。
この回帰感はなかなか良かったです。

この作品では、エルダのシーンは重要な意味を持つ場面なはずですが
今回の演出ではどうも扱いが低いように感じてしまいました。
ヴォータンはとりあえず意見を聴きに行ったけど
意見が合わなくて帰ってきただけ。別に行かなくてもよかったじゃない、みたいな。


ダン・エッティンガー指揮の東フィルは良かったです。
よく「初日は公開ゲネプロ」と揶揄されたりもするのですが
今回はきっちり仕上げてきましたねー。
なかなか演奏機会のないワーグナーの名作は、オケも燃えるのでしょう。
まあ、テンションや硬さは初日っぽい感もあったのですが・・・
弦は第2幕あたりからどんどん鳴ってきました。
印象的だったのは、ワーグナーチューバの最低音を吹いていた女性。
第1幕にずーっと1人でロングトーンな場所があるのですが
ワーグナーらしいうねりが出ていたと思います。


主演の「ジークフリート」はヨーロッパの伝説では
典型的な英雄・王子様の名前ですね。

白鳥の湖も、眠りの森の美女も、王子様は「ジークフリート」です。
眠りの森の美女は荊の中で眠っているお姫様を見つけた王子様が
口づけで眠りから覚ます物語ですが、
ワーグナーのジークフリートも、岩山の中で眠っているお姫様を
見つけたジークフリートが口づけで目を覚まさせるところまで被っていますね。

マジンガーゼットシリーズのグレンダイザーに出てきた
王子様キャラの主人公が「デュークフリード」なのも
ルーツとしては無関係じゃないと私は勝手に考えています(笑)


それにして、何度観てもやはりこの作品を実演で観るのは辛いです。
いくらなんでも冗長で。
個人の好みにもよるのだと思いますが、
私には4部作Completeする目的で観る作品です(笑)
ワルキューレと神々の黄昏の間が抜け落ちないように、というか。
わざわざこの作品だけを選んで観ることはないでしょう・・・
思い入れたっぷりなワーグナーさんには気の毒ですが。


ジークフリート
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/20000191_opera.html


もう今から来月の神々の黄昏が楽しみです!
超大作4部作のフィナーレを飾るにふさわしい、素晴らしい作品ですから。



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3 comments:

りん さんのコメント...

おもしろそうな舞台ですね。
クマはあなたでしょ
に笑ってしまいました。笑
先日はじめて「崖のうえのポニョ」を見ましたが
なんとなく、「ワルキューレ」ってかんじでした。
ポニョは父さんにはブリュンヒルデと呼ばれているし。
て・・・あんま関係ないか、ウフフ^^;

liebejudith さんのコメント...

りんさん、
ブリュンヒルデは北欧神話の女神で、ポニョもルーツは一緒だと思いますよ。
強く自分の意志を持ち、その自我のために自分を愛してくれる父を裏切る・・・ってところまで被ってますし。

りん さんのコメント...

そうでしたか!
じゃあ、やっぱり神話をモデルにしているのかな?
ポニョポニョとした雰囲気にもかかわらず
実は「愛する人の本当の姿を知ってもまだ愛せるか」
みたいな大真面目なテーマがあったりして
けっこう面白かったです。

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