2009/11/08

ティーレマンのばらの騎士

クリスティアン・ティーレマンは、私が好きな現役の指揮者の1人です。
数年前にウィーンでパルジファイルを観て以来、大ファンになりました。

Rシュトラウスの「ばらの騎士」は私が好きなオペラの1つです。
DVDでも一番多く持っている演目です。

ティーレマン指揮のばらの騎士のDVDが発売されたら買うしかありません!

というワケで、買ってきました。


 ※渋谷タワーレコードで6,390円もしたのに、↓のAmazonでは2,846円でした(泣;


Der Rosenkavalier : Thielemann/MPO/Fleming


 ルネ・フレミング(元帥夫人)
 ディアナ・ダムラウ(ゾフィー)
 ソフィー・コッホ(オクタヴィアン)
 フランツ・ハヴラータ(オックス男爵)
 フランツ・グルントヘーバー(ファニナール)
 ヨナス・カウフマン(歌手)

 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
 クリスティアン・ティーレマン(指揮)

 ヘルベルト・ヴェルニケ(演出)

 2009年1月バーデン・バーデン祝祭劇場

ティーレマン・ヴェルニケ・各歌手のインタビュー映像付き。
フレミングがドイツ語を話しています!


第1幕、幕が開いて、元帥夫人と一夜を共にしたオクタヴィアンが
歌い出すところでまずビックリしました。
なんと、ベッドの横の椅子で足を開いて座り、タバコを吸っています!
14歳ぐらいの少年という設定だったはずですが・・・(笑)

小間使いのモハメドは少年ではなく黒い顔のピエロです。
最初に幕を開けるのも彼。
ヴェルニケは狂言回しという役どころをモハメドに与えたようです。

この、モハメドの扱いに工夫を凝らす演出家は多いようですね。
一昨年前に観たチューリッヒ歌劇場のの演出では
元帥夫人の内面や幼少期をモハメドに重ね合わせるような解釈でした。

舞台は全幕通して大きな鏡を使った設計です。
これは元帥夫人の内面を映し出していることを暗示しているのでしょうか。
それとも、現実ではない世界を表しているのでしょうか。

ピエロの狂言回や鏡を使った舞台ということで
この作品の持つ「皮肉」がやや強調された舞台という印象もあります。

時代設定は20世紀に移されていますが、
奇抜なモダン演出というわけではありません。

第2幕のオクタヴィアンの登場シーン!
真正面の階段の上から登場です。
白いスーツ・白い帽子・白い靴です。
横向きに立って、顔は正面を向き、
片手には銀のバラ、片手は腰に当てて片足を軽く曲げて立っています。
まるで宝塚の男役です(笑)

第3幕の3重唱はオケ・歌手が一体となった感動を味わえました。
ティーレマンはこういう「聴かせどころ」を
これでもかと存分に聴かせるのが上手いですね。

最後、2重唱のあと感極まって2人が倒れ込みます。
2人の手には銀のバラが。
幕を引くのはピエロです。
ここで2人の手にある銀のバラをピエロが本物のバラに取り替えて
銀のバラを投げ捨てます。
この愛だけは本物だという暗示でしょうか。
そして、最後にピエロは顔に塗った黒を拭き取ります。
白人至上主義へのアンチテーゼでしょうか。シニカルな演出ですね。


とにかく、歌手陣が豪華です。
どの歌手も歌も演技も文句なし。
フレミングの元帥夫人、さすがの貫禄です。はまり役ですね。
ディアナ・ダムラウのゾフィー、
典型的なドイツ人の顔立ちと体格ですが、かわいいです。
ハウラータのオックス、下品なオヤジという役柄なのですが
どこか貴族らしさを失わないのがすごいです。
ソフィー・コッホのオクタヴィアン、40歳とはとても思えません(笑)
カウフマンのテノール歌手も、あのアリア1曲ではもったいないぐらいですね。

 「テノール歌手」の役は出番が少ないためか、
一球入魂的な少々力み気味な歌唱が多いような気がします(笑)



ティーレマン指揮のミュンヘンフィル。
素晴らしく豊かな音のアンサンブルです。
「豊潤・豊麗」とはまさにこのこと。
テクニックも抜群で、Rシュトラウスの
「音の洪水」を見事に作り出しています。
ティーレマンは本来オペラの指揮者だけに、
歌にピッタリつけた音楽の運び方がさすがです。
舌を巻くほど上手いです。

あとは繊細さが加わればカンペキなのですが・・・もったいない。
しかしこれは指揮者ではなくオケかもしれません。
ティーレマンがウィーンフィルでアルプス交響曲と一緒に入れた
ばらの騎士組曲があまりにも素晴らしかったのですが、
残念ながらミュンヘンフィルではそこまでいたらず・・・
第2幕最後のオックスのワルツなど、ウィーンフィルとの
ニュアンスの差が出てしまっていた気がします。
まあ、ウィーンフィルほどの微妙な「色気」を出せるのは
ウィーンフィルだけとも言えますが・・・


R0016943


オケも歌手も、現在世界最高と言っていい水準だと思います。
もし会場で観ていたら大興奮でしょう。

・・・しかし、DVDで観ていると何かがもの足りません。

自分の中ではクライバーやカラヤンが「ばらの騎士」の
基準になってしまっているのかもしれません。
さすがのティーレマンもあの域までには達していないというか、
ティーレマンがあそこまで突き抜けた「何か」を自分のモノにするのは
まだ50歳ですし、これから先ということなのでしょうか。


とは言え、一昨年前のミュンヘンフィルとの来日公演での
ブルックナーの5番は神がかった演奏でした。
あの水準の演奏はそうそう聴けるものではありません。
来年3月には日本でブルックナーの8番を演奏します。
もちろんチケットを買いました。
今から楽しみです。

さらに、2012年からティーレマンはシュターツカペレ・ドレスデンの
音楽監督に就任することが決まっています。
いつかこの組み合わせでばらの騎士を聴いてみたいです。



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1 comments:

りん さんのコメント...

ばらの騎士、気になってしまいました。
ということで(どのへんが、ということでなのか不明

ばらを描いてみました。V

最近、またブログをはじめました。
思いっきり趣味に走ったブログにしようと思います。爆
ぜひ遊びに来てくださいね~

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