2009/03/15

伝説の舞台・再び。

新国立劇場・伝説の舞台。
「トーキョー・リング」の再演です!

日本中のオペラファンが待っていたことでしょう。

ワーグナーの「ニーベルングの指環」は上演に4日を要する超大作です。

新国立劇場では2001年から2004年まで年に1作ずつ上演され、
その一大プロジェクトは「トーキョー・リング」と呼ばれ、伝説と化していました。

今回の再演では、今月・来月に「ラインの黄金」と「ワルキューレ」、
来年の2月・3月に「ジークフリート」と「神々の黄昏」が上演されます。

今日は「ラインの黄金」です。

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この大プロジェクトの演出を手がけたのはキース・ウォーナー。
キース・ウォーナーの演出は超モダン路線です。
この手の演出は、数年経つと「当時はこれがモダンだったんだね」という
妙な古くささを感じさせてしまいがちですが、
今回の舞台は今でも斬新さを感じさせる秀逸なものでした。

意味のわからないただヘンテコリンなだけの演出ではなく、
演出家の意図がきちんと伝わり、作品の流れに沿ったモノだったからでしょう。
示唆性・寓意性に富んだ舞台だったと思います。

冒頭、ヴォータンが1人で暗闇の中、いびつな台形のスクリーンに
映し出される映像を眺めるシーンから開始されます。

その後、第2幕・第3幕はすべてこの台形をモチーフにしたセットで演じられます。

冒頭に登場するヴォータンは「神々の黄昏」後のヴォータンで、
この物語そのものがヴォータンの回顧録であるという設定なのでしょうか?



R0012517.DNG



歌手陣もオケも、この大プロジェクトにかける意気込みが
ひしひしと伝わってくる大熱演です。

歌手の中ではアルベリヒを歌ったユンゲン・リンが特に良かったです。
声の響きも、音楽作りも。抜群の存在感。
小人族の役なのに、全出演者中で一番大柄でしたが(笑)

エルダを歌ったシモーネ・シュレーダーも聴き応えのある歌唱。
出番は少ないのですがとても強い印象を与えてくれました。

ローゲ(トーマス・ズンネガルド)は、
もう少し強烈なキャラクター性があっても良かったかも。

ヴォータン(ユッカ・ラジライネン)もちょっと薄い感じでしたが、
あれはあれで、ああいうヴォータンなのかな、と妙に納得も出来ます。
優柔不断な神様ですから(笑)


オケはダン・エッティンガー指揮の東フィル。

大編成なのでオケピットの中はギッチリでした。
ホルン8本、トランペット・トロンボーン(コントラバストロンボーン入り)4本ずつ、
バストランペット・ワーグナーチューバ。
さらにハープ6台が並ぶと圧巻ですね。

個人的に、今まで聞いた東フィルの公演では一番の出来でした。
この大編成・大曲にもかかわらず、最後まで高い集中力を持った
鮮烈な音を聴かせてくれました。
しかも、同時期にサントリーホールでカルメンもやっているので
いくら大所帯(通常のオケ2つ分の楽団員を擁しています)の東フィルでさえも、
この大編成では戦力2分&エキストラ大量導入だったのだと想像するのですが・・・
素晴らしいです!


ワーグナーは長丁場なので、
演奏にはかなりのパワー・スタミナ・テクニックを要します。
そのためか、国内上演はペース配分を考えた安全運転になりがちで
聴き手には少々物足りなさを感じさせることも少なくないのですが。。。

日本の公演でここまでやってくれれば大満足です。
ドイツのオペラハウスで聴くような薫り・雰囲気や
うねり・毒・魔力が少々足りないというのは贅沢でしょうか。


来月のワルキューレ、来年のジークフリート、神々の黄昏も
この調子で乗り切ってもらいたいですね。


新国立劇場「ラインの黄金」
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000075_opera.html

「トーキョー・リング」再び! 「ラインの黄金」でスタート(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/090315/msc0903150800000-n1.htm

日本オペラ史に輝く金字塔「トーキョーリング」がいよいよ再演!(Yahoo!ニュース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090306-00000004-pia-ent

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2時間40分・休憩なしのぶっ通しだったのでのどが渇きます。

・・・ということで。

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2 comments:

匿名 さんのコメント...

初めまして。南川泰三です。mixiからたどってきました。素晴らしいブログですね。僕も演劇鑑賞は仕事兼趣味のようなものですが、オペラはまだ2度ほどしか鑑賞しておりません。時々、覗かせていただきます。

liebejudith さんのコメント...

マヤタイ 南川泰三 さん、
ようこそいらっしゃいました!コメントありがとうございます。
オペラは舞台芸術なので、演劇に通じるモノが多々ありますね。
これからもよろしくお願いします。

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